ボーダーライン。Neo【上】
彼が誰と仲良くしようと、彼の勝手だ。あたしがそれにヤキモチを妬いたところで、秋月くんに文句は言えない。
だって既に、告白を断っているのだから。
いや、と秋月くんはどこか腑に落ちない様子で呟いた。
「あ。じゃあ、美波の都合良かったらまたメールするね?」
『あ、うん。オッケーだったらまたバイト先でチケット渡すから』
「分かった」
ひと言ふた言、会話を交わし、あたしは、それじゃあと言って電話を切った。
それから数日後の事だ。あたしは学校で、思いも寄らぬ光景に出くわした。
ホームルームが終わって、間も無くの事。職員室を後にしたあたしは、何冊かの資料本を手に、視聴覚室へと向かっていた。
ふと視界に映る、窓の外。彼のとんでもない行動が、あたしの足を止めた。
見たくも無いのに、瞬きするのも忘れ、それを脳裏に焼き付けてしまう。
秋月くんは、水城さんとキスしていた。
最初は嫌々ながらも、仕方なくしたように見えた。それなのに、口付けを終えようとした時、水城さんから強引に迫られ、秋月くんはそれを受け入れていた。
何がどうなって、彼らのキスを目撃する事になったのかは分からない。
けれど、その時。今まで信じて疑わなかった彼の人となりは、音を立て、粉々に壊れてしまった。代わりにふつふつと湧き上がるものに気が付いた。怒りや悲しみを網羅した、嫉妬の感情だった。
だって既に、告白を断っているのだから。
いや、と秋月くんはどこか腑に落ちない様子で呟いた。
「あ。じゃあ、美波の都合良かったらまたメールするね?」
『あ、うん。オッケーだったらまたバイト先でチケット渡すから』
「分かった」
ひと言ふた言、会話を交わし、あたしは、それじゃあと言って電話を切った。
それから数日後の事だ。あたしは学校で、思いも寄らぬ光景に出くわした。
ホームルームが終わって、間も無くの事。職員室を後にしたあたしは、何冊かの資料本を手に、視聴覚室へと向かっていた。
ふと視界に映る、窓の外。彼のとんでもない行動が、あたしの足を止めた。
見たくも無いのに、瞬きするのも忘れ、それを脳裏に焼き付けてしまう。
秋月くんは、水城さんとキスしていた。
最初は嫌々ながらも、仕方なくしたように見えた。それなのに、口付けを終えようとした時、水城さんから強引に迫られ、秋月くんはそれを受け入れていた。
何がどうなって、彼らのキスを目撃する事になったのかは分からない。
けれど、その時。今まで信じて疑わなかった彼の人となりは、音を立て、粉々に壊れてしまった。代わりにふつふつと湧き上がるものに気が付いた。怒りや悲しみを網羅した、嫉妬の感情だった。