ボーダーライン。Neo【上】
 秋月くんに対して、ただただ不信感ばかりを募らせ、それから数日は彼を避け続けた。自らが教師であるにも拘らず、挨拶すら無視し、勿論メールのやり取りも一切やめた。

 彼を見ると、どうしても水城さんとのキスの映像が思い出され、あたしは秋月くんに辛くあたった。当然、彼は困惑していた。

 あたしはいつも同じ様な人を好きになる。

 優しくて、明るくて、目立ってて、カッコよくて、デリカシーなんて全く理解出来ない、浮気ぐせのある男の子。

 自分から好きになった人は、最終的にあたしを裏切るのだと、あたしはあたしを追い詰めた。

 結局のところ、彼に誘われたライブには一人でこっそりと見に行く事になった。

 本当は行かないつもりだった。秋月くんなんて、もう大嫌いなんだから、と自分に言い聞かせて酷いメールまで送ったのに。

 やっぱり、本心では彼を嫌いになんてなれなかった。

 秋月くんを好きで、純粋に愛すれば愛するほど、悲しみが広がった。

 嫉妬の感情が、自分でもコントロール出来ず、ただただ暴れ回っていた。

 理由も言わずに彼を傷付け、結果的に自分も傷付くなんて、馬鹿みたいだ。

 だからあたしは、秋月くんとちゃんと話をしようと思った。二人で会って話したい、と。
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