ボーダーライン。Neo【上】
別に連絡を取って、会う約束をしたわけではない。
でも。あのバーに行けば、バーテンの秋月くんに会えると思っていた。
珍しく一人きりで来店し、あたしは彼を探した。しかし、秋月くんはもうそこには居なかった。
後で知った事だが、偶然にもマスターに年齢がばれて、バイトをクビになったらしい。
ただ会って話したいだけなのに、会えない。あたしは悲しみの感情を紛らわす為に、沢山お酒を飲んだ。
そして有ろう事か、泥酔したまま秋月くんに電話をかけていた。勿論、記憶を無くすほど飲んでいたので、呼び出した事は覚えていない。
自室で目を覚ました時、そこに秋月くんがいた。
「ひゃあっ!?」
ベッドの上だというのを自覚して、あたしは慌てて飛び退いた。
胸の前でグーを作り、警戒心むき出しに彼を見ていた。
「あ、秋月くん。ななんっ」
「呼ばれたから」
彼は冷めた口調で答えた。
「え?」
そしてため息をひとつ吐き出すと、携帯の着信履歴を見せられた。
ーー本当だ。あたし。秋月くんに電話してる……
もう深夜になろうという十一時過ぎに履歴があった。
はぁ、と。秋月くんは眉を下げ、心底迷惑そうに再度ため息をついた。
でも。あのバーに行けば、バーテンの秋月くんに会えると思っていた。
珍しく一人きりで来店し、あたしは彼を探した。しかし、秋月くんはもうそこには居なかった。
後で知った事だが、偶然にもマスターに年齢がばれて、バイトをクビになったらしい。
ただ会って話したいだけなのに、会えない。あたしは悲しみの感情を紛らわす為に、沢山お酒を飲んだ。
そして有ろう事か、泥酔したまま秋月くんに電話をかけていた。勿論、記憶を無くすほど飲んでいたので、呼び出した事は覚えていない。
自室で目を覚ました時、そこに秋月くんがいた。
「ひゃあっ!?」
ベッドの上だというのを自覚して、あたしは慌てて飛び退いた。
胸の前でグーを作り、警戒心むき出しに彼を見ていた。
「あ、秋月くん。ななんっ」
「呼ばれたから」
彼は冷めた口調で答えた。
「え?」
そしてため息をひとつ吐き出すと、携帯の着信履歴を見せられた。
ーー本当だ。あたし。秋月くんに電話してる……
もう深夜になろうという十一時過ぎに履歴があった。
はぁ、と。秋月くんは眉を下げ、心底迷惑そうに再度ため息をついた。