ボーダーライン。Neo【上】
『悪い、檜。それで用件なんだけど』
彼がそう言うや否や、急に声が途切れた。
ーーあ。充電切れ?
僕は耳に当てた端末を視界に入れた。画面は思った通り、真っ暗だ。
圏外じゃないか、つまり、解約されていないかどうかを確認する為だけに充電したので、溜まった電池はほんの僅かだった。
動力の切れた携帯を再び充電し、僕は仕方なく腰を浮かした。
さっきまでいた窓辺に、置きっ放しにした、現在の携帯を取りに行くと、充電器に繋いだ古いそれを頼りに、内田の番号をタッチした。
呼び出し音が鳴る間、またペットボトルの水を口にする。
程なくして、もしもし? とこちらを訝る声が聞こえた。内田は少しの緊張をはらんでいたが、僕の声を聞き、安堵したようだ。
「一応、この携帯が直通だけど。普段仕事中は出れないから、短い用件の時はメールして?」
『ああ、ありがとう。助かるよ』
「それと前の番号はもう解約するから。奈々が掛けてきても繋がらないよ?」
『ふぅん、分かりましたぁ~』
再度、ハンズフリーにしたらしく、三人で会話する。
『それでな、檜。用件だけど。俺と奈々、結婚する事になってさ。来年の五月に式やるんだ』
え、と呟き、思わず目を丸くする。
彼がそう言うや否や、急に声が途切れた。
ーーあ。充電切れ?
僕は耳に当てた端末を視界に入れた。画面は思った通り、真っ暗だ。
圏外じゃないか、つまり、解約されていないかどうかを確認する為だけに充電したので、溜まった電池はほんの僅かだった。
動力の切れた携帯を再び充電し、僕は仕方なく腰を浮かした。
さっきまでいた窓辺に、置きっ放しにした、現在の携帯を取りに行くと、充電器に繋いだ古いそれを頼りに、内田の番号をタッチした。
呼び出し音が鳴る間、またペットボトルの水を口にする。
程なくして、もしもし? とこちらを訝る声が聞こえた。内田は少しの緊張をはらんでいたが、僕の声を聞き、安堵したようだ。
「一応、この携帯が直通だけど。普段仕事中は出れないから、短い用件の時はメールして?」
『ああ、ありがとう。助かるよ』
「それと前の番号はもう解約するから。奈々が掛けてきても繋がらないよ?」
『ふぅん、分かりましたぁ~』
再度、ハンズフリーにしたらしく、三人で会話する。
『それでな、檜。用件だけど。俺と奈々、結婚する事になってさ。来年の五月に式やるんだ』
え、と呟き、思わず目を丸くする。