AIが決めた恋
瞬間、しんとした空気が体育館全体に広がる。
勉強会までしておきながら、僕と真島くんはほとんど話したことがない。

「今回のテスト、学年1位だったと聞いたよ。凄いな。」

なんとなく、しんとした雰囲気が気まずくて、僕は口を開いた。

「君は5位だと聞いたが。」

驚いた。僕は誰にも順位を言っていなかったのに、どうして真島くんが知っているのだろう。

「誰情報?」
「君のパートナー。桃野さんだったか?」
「桃野さんにも教えてないはずなんだけど。」
「君がどうしても教えてくれないから、こっそり成績表を盗み見たと言っていた。」

桃野さん…。
これからはもっと管理を厳重にしておこう。

「逆に俺の順位は誰から聞いたんだよ。」
「昨日たまたま後ろを歩いていたクラスメイトが噂していた。」
「昨日の今日で、もう噂になってるのかよ。この学校は噂話が好きなのか?」
「それは分からないけれど、きっと真島くんだから噂になってるんだと思う。」

真島くんが、明らかに他の生徒と比べて際立って見えるから。やはり目立つ人の噂はしたくなるものなのだろう。

「どういう意味だ?」
「真島くんが何でもできるから。高身長のイケメンで、剣道も強いと噂されていたよ。」
「心外だな。」
「それから、湖川さんのことも…。」

今、湖川さんは関係無い。それなのに、僕は彼女の名前を出してしまった。
昨日、クラスメイトがしていた噂が本当なのか、気になって落ち着かない。
でも、聞けない。きっと聞くのが怖いから。
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