AIが決めた恋
「は?」
「蛍貴を責めるな。蛍貴は夏休みに必死で小説を書いていたんだ。心がこもっている作品に、なんてことを言うんだ。」
「それがくだらないって言ってるの!中3なんだし、夏休みは勉強する予定だったでしょ!?蛍貴にはここら辺の地域で最難関の高校へ行ってもらうんだから。」

母がそう言った瞬間、父は物凄い強さで机を叩いた。大きな音が、部屋中に響き渡る。

「いい加減にしろ!それは蛍貴が自分で決めることだろ!!」

父が大声で怒鳴った。

「行きたい高校を聞いても、はっきり答えないんだから仕方ないでしょ!?」

母も負けじと声を大きくする。
自分のせいで両親が大喧嘩をしている。その事実がとても悲しかった。
母と父は、昔はとても仲が良かった。それなのに、いつしか喧嘩が絶えなくなった。母は日頃のストレスを解消する為に、僕や父に向かって、毎日のように嫌味を言う。父は、比較的温厚な人間だが、母と喧嘩をする時だけは、大きな声を出す。気づけば、両親は喧嘩をしているのが日常になった。

「蛍貴は何処の高校へ行くの?」

小説の話であったはずなのに、いつの間にか高校の話へとすり変わっている。

「最難関の高校へ行くよ。」

本当は他に行きたい高校がある。しかし、今ここで本当のことを言ったところで、母の機嫌が更に悪くなるだけだ。
僕一人だけが意思を無くして、ただ相手の言うことを聞いていれば、この場は丸く収まる。
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