AIが決めた恋
お兄ちゃんは、全力疾走で私のところへと向かってきた。

「藍!遅かったけど、大丈夫か!?もしかして、迷ってた?目を離しちゃって本当にごめん!藍は可愛いから心配だった!変な虫がついてきちゃったりしてないかなって──」

そこまで言って、お兄ちゃんは佐倉くんの存在に気がついたようだった。

「君、誰?」

お兄ちゃんが凄い形相で佐倉くんに詰め寄った。

「お、お兄ちゃん、彼は──」
「君、名前は?何処の誰?藍とどういう関係?あ、もしかしてナンパですか?藍が可愛いから。失礼ですが、ナンパするような男を藍は好きになりませんから。分かったらさっさと帰れ、変な虫。」
「お、お兄ちゃん、落ち着いて…!」

佐倉くんが完全に引いてしまっている。

「お兄ちゃん、彼はクラスメイトの佐倉蛍貴くん。」
「申し遅れました。僕は湖川さんのクラスメイトの佐倉蛍貴です。」
「は?桜ケーキ?」
「初対面の方には、よくそう勘違いされます。桜ケーキではなく、佐倉、蛍貴です。」
「お兄ちゃん、実は私、迷子になってしまったの…。そうしたらその時偶然佐倉に会って、ここまで案内してもらっていたの。私を助けてくれただけで、変な虫じゃないから、安心して。」

私がそう説明すると、お兄ちゃんの物凄い形相は、普段の朗らかな表情へと戻った。
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