AIが決めた恋
遠足が終わって、2週間と少しが経ち、もうすぐ6月の半ばだ。

「遠足が終わって、少し経ったが、遠足気分は抜けてきたか?」

今日も担任の先生が前に立って話をしている。よくもまあ、毎日毎日話すことがあるなといつも思う。

「さて、2週間後には、皆が楽しみにしている、大きな大きなイベントがあるな。本田、何か分かるか?」

いきなり本田くんが指名されたのは、たまたまではない。本田くんは、いつも先生の話の間に茶々を入れるから、先生も意図的に本田くんに話をふるのが日常になっていた。

「あ?イベント?夏休みっスか?」

先生が大きな溜息をつく。

「まだ6月だぞ。夏休みなわけがないだろう。」
「じゃあ、何なんスか?聞いといて、期待通りの返答がもらえなかったからって、勝手に呆れるの良くないっスよ。」

見ていて、とてもヒヤヒヤする。目上の人にも動じないのは、彼の良いところでもあり、同時に悪いところでもある。今は、悪いところが出た。

「はぁ…。分かった分かった。本田に聞いた先生が悪かったよ。」

たまたまこのクラスは優しい先生だったから良かったが、怒っていてもおかしくはないと思う。

「テストだよ、テスト。2週間後にはテストがある。皆、しっかり勉強するように。」
「テスト?赤点は何点っスか?」
「赤点は、一応、平均の半分以下となっているが、赤点を取っても、特に補習などは無い。」

それを聞いた本田くんは、大きくガッツポーズをした。

「それなら勉強する必要ねーじゃん!おっしゃ!」

本田くんは気がついていないようだが、先生の顔が暗くなり、不敵な笑みを浮かべた。
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