教師になりたい悪役令嬢はゲーム関係者の妨害にあう

「でも私主人公なのに! こんなに魔法が苦手なんて聞いてないよ~! うわ~ん、ご先祖様ぁ~! あとエリちゃんのことを親友だって手紙に書いたのは私です……」

「さらっと小声で一番大切なことを言わない! とにかく、貴女には無事この学園を卒業して貰う必要があるわ。これからみっちりしごいてあげるから覚悟なさい」

「あ、ありがとう、エリちゃん! 私、エリちゃんは最高の親友だって、みんなに伝えるからね!」

「止めてこれ以上ややこしくしないで!」

「ははっ、相変わらず、ライラはエリナに泣かされているな」

 物騒な表現を使わないでほしいと振り返れば案の定……

「私は泣かせていないわ。アレン」

 王宮に仕えるという名誉を蹴ってまで学園に残った人だ。もとい、教師になったアレンがいた。私と同じように新任教師として、彼もこの春から働き始める。
 私が異議を唱えるとライラも頬を膨らませて反論してくれた。

「そうだよ、アレン。私は私の不甲斐なさに打ちひしがれているだけ! エリちゃんは悪くないんだよ!」

 とはいえアレンも本気で言っているわけではない。そうやって私たちをからかうのは彼の手口だ。

「うんうん。麗しい友情だね」

 アレンに言われると妙に苛立つのはどうしてだろう。にこにこと裏を見せない表情で、私よりも先に教師として採用されていた抜け目のなさに苛立つのかもしれない。

 傍にいてくれるのは頼もしいけどね……

 アレンのことはさておき、私は私の生徒に向き直る。

「とにかくライラ! 勉強なら私が教えるわ。今度こそ、絶対に、卒業してもらいますからね!」

 私の教師としての評価を落とさないためにも!

「エリちゃん!」

 ぱっと笑顔を浮かべるライラは可愛い。素直に感謝してくれることも、他愛のない一言で喜んでくれるところも、嫌いではない。むしろ――、嬉しいとさえ思うこともある。認めたくはないけど!

「まずこの一年の復習から始めるわよ。アレンも教師になったんだから、この問題児を卒業させるために協力してもらうわ」

「了解。君と一緒にいられるのなら喜んで」

 きっと悪役令嬢(わたし)の教師生活は彼らのせいで波乱万丈に彩られることだろう。そんな胸騒ぎが止む事はなかった。

 まあ、やりがいはあるでしょうけど、ね……
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