教師になりたい悪役令嬢はゲーム関係者の妨害にあう
 怒りの感情を携えたまま、私は目に付いた元凶を拉致していた。

「えっと、エリナ? 君に手を引かれるのは嬉しいんだけど、どうしたの?」

「顔を貸して」

 私は強引に押しきり、攻略対象であるアレンを空き教室に放り込む。
 ドアを閉めるなり、単刀直入に話を切り出した。

「アレン。貴方、教師を目指しているそうね。どういうことか、きっちり説明してもらうわ」

「ああ、君も今日が面接だったんだね。結果はどうだった」

「誰かさんたちのせいで散々よ! 私、アレンが教師に憧れていたなんて知らなかったわ!」

 これでも良好な関係を築けていると自負していた。夢について語りあったこともある。
 あの時私は教師と答えたけれど、アレンにははぐらかされてしまった。答えを知っていた私も追及はしなかったけれど、今となってはその判断を後悔している。

「僕が憧れたのは教師じゃなくて君だよ」

 真っ直ぐに見つめられると居心地が悪い。問い詰めているはずが、問い詰められているように立場が逆転していた。

「な、何よ、急に……」

「君が目指しているのなら、何にだって憧れたと思う。君の真っ直ぐな眼差しが眩しくて、その瞳に映る世界を僕も見てみたいと思った。だから教師になろうと思ったんだ」

 照れる素振りもなく、ストレートに物事を告げる。それがアレンという人物だ。
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