御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~

その後、父の意向でゲストにはなにも伝えずパーティーは終わり。
会社関係者により会場の撤収がなされる中、美砂はぼんやりとロビーのソファに座っていた。

「美砂。帰れる?」

「うん」

私と透さんは彼女に付き添うため、そばについた。
先ほどよりも落ち着いており、スマホでネットニュースを確認している。

【池畠和志(34)、架空経費により五億円の脱税発覚! 異常なまでのカネへの執着は生い立ちにあった!?】

【高級レストランチェーン経営の裏で行われた姑息な隠蔽! 成金実業家の横暴な素顔とは?】

【『ロータス』女性従業員へのセクハラ疑惑も。内部告発により明かされる「女好きオーナー」からの夜の誘い】

……池畠さんの記事ばかり並んでいる。
過激なワードが目立ち、私は美砂のスマホの電源ボタンを押して真っ暗にした。

「……沙穂ちゃん。なんだか不思議なの。私、ホッとしてる」

ポツリと彼女はつぶやいた。
スマホをバッグにしまい、美砂は立ち上がる。

「……ホッとしてるって?」

強がりかな?

「この結婚、最初からなにか引っ掛かってた。よく分からないけど、胸騒ぎがしてたっていうか」

婚約者が逮捕された後とは思えないスッキリとした表情が、それが嘘ではないと物語っていた。
彼女のこんな顔は初めて見る。

「……そうだったんだ」

美砂も私の不安を感じ取っていたのだろうか。いつも元気だったから、彼女の気持ちに気づいてあげられなかった。
もっと腹を割って、ふたりで話せばよかった。
透さんの言ったとおりだったのかも。
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