御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
女性との付き合いも制限されていた。両親が付き合いを薦めてくる女性とのみ会い、自ら寄ってくる者は相手にしてはならない。よからぬ誘惑も多いため、この教えについては多少賛同している。

しかしそんな手狭な世界で、満たされるわけがない。

いずれ結婚相手すらも決められ、兄が継いだ会社のサポートに回る。
俺の生き方はこれでいいのだろうか。


転機が訪れたのは、ちょうどそんな頃だった。

『三鷹透さん! 手紙読んでもらえませんか!』

研究室に顔を出した帰りに大学前で呼び止められたかと思うと、茶色いロングヘアーの女子学生に桜柄の封筒を押しつけられた。

とりあえず足を止めたものの、いきなりすぎて『えっ』と戸惑いの声しか出ない。
そもそも、誰だ。

『乙羽美砂です! 大学はアベリアですけど、透さんと同じサークルです!』

そういえば同期が騒いでいた。お嬢様ばかりで有名なアベリア女子の学生がサークルに入会し、これが美人で明るくてお転婆だと。

しかもどこか大企業のご令嬢だと言っていた。

乙羽……乙羽……オトワリゾートか?
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