御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
透さんは手もとの資料もプロジェクターも見ずに、うちの社員たちに目を向けたままスラスラと話を続ける。

「第一段として二十代限定、誕生日前後十日での割引キャンペーン『OTOWAプラン』を提案します。詳細は当社のコンサルタントよりご説明致します。渡辺」

「はい。まず若年層離れの原因についてご説明しますがーー」

名指しされた女性も、まったくひるむことなく説明を続ける。
私とそう年齢は変わらないように見えるのに、優秀な人なんだろうなぁ。

透さんは最初の号令をかけただけで、後は五人の説明を聞いている。この若さで、統括の役職についてるなんて。

コンサルタントとしての透さんを初めて見た。
もうなんか、ため息が出るほど格好いい……。

「すごいだろ? 沙穂の婚約者は」

父のひやかすような囁きでハッとした。覗きはよくない。私は音が立たないよう扉をそっと閉めた。

「もう。お父さん、透さんが来てるからってわざわざ呼んだの?」

「それもあるけど、それだけじゃないよ。今日はたまたま全員揃ったから顔を合わせようと思ってね。話もあるし」

「全員? 話?」

首を大きくかしげてみせたのに、父はニコニコと笑ったまま答えない。
目的地は他にあるらしく、さらに私を同じフロアの応接室へと連れていく。
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