懐妊一夜~赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません~
隣に視線を移せば、どこか悪戯な笑みを浮かべる副社長の姿があった。

まさかの展開に慌てふためくが、だけどよく考えてみたら、これは社交辞令に違いない。

マスターと私に気を遣って、そう言ってくれたんだ、きっと。そう気がついたら、一気に冷静さが戻ってきて、なんとかこの場を乗り切れそうな気がしてきた。

「はい、お待たせ、蜜葉ちゃんのパフェと結斗くんのオムナポリね。後はふたりでごゆっくり」

ちょうど私が頼んでいたパフェと副社長のオムナポリが出来上がって、それを目の前へと差し出すと、マスターはカウンター裏へと消えていった。

「芹澤さんは、いつからここに通ってるんだ?」

熱々のオムナポリを食べ出した副社長からすぐに質問が飛んできた。

「えっと……私、実は高校時代にここでバイトをしていたことがあって。それ以来、マスターの味に惚れて通わせてもらっています」

もはやパフェの味を楽しむ余裕はない。

「そうなのか。俺も昔から通っていたりするんだが。今まで見事にすれ違っていたということか」

「……そういう事になりますね」
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