こんぺいとうびより
───!!!

震える手で『応答』と書かれた四角形を下にスライドする。

「・・・もしもし。」

『今家!?』

「はい、あの、新貝さん、異動のこと・・・。」

『今から行ってもいい?』

「え?今から?うちに?」

『今すぐ璃子に会いたい。』

「い、いいですけど・・・。」

切羽詰まった彼の口調とその言葉にドキドキが加速する。

『すぐ行くから待ってて。』

「はい・・・。」




20分程でインターホンが鳴る。

モニターには息を切らした一直が映っていた。

エントランスのオートロックを解除しドアの前で待っていると再度インターホンが鳴り、覗き穴から覗くと一直が膝に手をついて息を整えていた。

「大丈夫ですか!?なんでそんなに急いで・・・。」

ドアを開けて言うと、彼は顔を上げて抱きついてきた。

その勢いのまま玄関に入り、璃子をきつく抱きしめる。

彼の背中の後ろでドアがゆっくりと閉まった。
< 56 / 189 >

この作品をシェア

pagetop