こんぺいとうびより
「葉吉さんが俺らを組ませた理由がわかった気がするな。」

悠馬が沈黙を破りそう言うと真海も頷いた。

「そうだね。」

いつのまにか真海は泣いていて、そんな彼女に悠馬は胸ポケットに入っていたタオルハンカチを差し出した。

「使えよ。」

「い、いいよ・・・私厚化粧だから化粧付くし。」

パッと顔を背けると悠馬は立ち上がり、ハンカチを真海の顔に当てる。

「いいから使え。」

「・・・ど、どうも。」

真海は化粧がつかないようにハンカチの角を使って涙を拭き、ふと気づいて聞いてみる。

「・・・あんたもしかしてこれで汗拭いた?」

「今日めちゃ暑いし拭いたよ、そりゃ。」

真海は一気に青ざめ、ハンカチを床に叩きつけた。

「ぎゃー!!」

「な、なんだよ!拭いたの顔と首だけだぞ!?わきの下とかは拭いてねーからな!」

「そういう問題じゃない!」

「涙も汗も同じようなもんだろ!」

「同じじゃない!」

ひいぃと言いながら傍らにある荷物置きのカゴの中に置かれていたティッシュで、ハンカチが触れた部分を拭う。

「最初からこのティッシュで涙拭けばよかった・・・ん?」

ティッシュの箱の隣に自分のバッグと綺麗にたたまれた白い洋服があった。

───これは、私のジャケット・・・?

自分の上半身を見てみると、ロイヤルブルーのノースリーブ姿だった。

「いつの間にジャケット脱いだんだろ。記憶ないな。」

口に出して言うと悠馬が何でもないことのように答えた。

「ああ、それならお前が寝てからすぐ俺が脱がした。」

「ぬぬぬ、脱が・・・し・・・た・・・?」

「窮屈だろうしシワになるかと思って。声かけたけど起きなかったし。」

「なな、なななんてことすんのっ!勝手に服脱がすとか!?」

「え?上着だし。お前会社で普通に脱いでるだろ。」

「そういう問題じゃない!この変態!」

真海は涙を拭いたティッシュを悠馬に投げつけた。

「お前!俺はゴミ箱じゃねえぞ!」

「うるさい!」


「・・・今城さん?」

いつの間にか看護師さんがベッド脇に来ていた。



検査は異常がなく、そのまま帰ることになった真海をなかば強引に実家まで送ってきた悠馬は驚いた。
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