もしもの話が嫌いな君は、
もしもの話が嫌いな君は、
いつぶりだろうか。


鏡の前で、真っ白の布を纏い一回転。


新調したばかりの白いワンピースが、ふわりと揺らめいた。


前にも着たことのある白いワンピース。

これを着るのは、いつぶりだろう。



「姉ちゃん、そんな白い服着てくの?汚すんじゃない?」

「いいの!別に汚さないもん!」

「言ってる側から、袖んとこ汚れてるよ」

「え、嘘っ?!」

「うっそ〜」


今日も陸は憎たらしい。

こんなに憎たらしいと、彼女も出来ずに一生独り身なんじゃないかって、思わず心配してしまうね。


「どこ行くの?」

「海!」

「………絶対汚すじゃん」

「うっ………」

「馬鹿だなぁ、俺のお姉さんは」

「でも、今日海の日だし……」

「海の日だからって海に行こうとは思わないけどね」

「うるさい!」


私は、陸とこんな話をしてる場合じゃないのだ。

もうすぐ、海へ向かうバスがやって来る。



その前に、シナを迎えにいかなくちゃ!
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