もしもの話が嫌いな君は、
スマホを取り出し、ラインを開けば、姉ちゃんとのトークルームはずいぶん下の方にいってしまっていた。



急いで電話を掛ける。




ただただ、声が聞きたかった。

だってもう、2年も聞いていないのだから。






『…………もしもし、陸?』


数コールして、2年ぶりに聞く姉ちゃんの声。



「………どこ、行ってたんだよ……っ」

『えーっと、へへへ……』


能天気なその声が、懐かしくて。









「…………早く帰ってきてよ」





『わかった、今すぐ帰……っちょ、シナ!』

『陸。悪いけど、もうちょっと姉ちゃん借りるから』



突然シナくんの声がしたと思ったら、電話を切られた。



………あの人、久しぶりの兄弟の再会に水を差すってどういう神経してんの?





そんなことを考えながら、俺は思わず吹き出した。




やっぱり、シナくんの隣には姉ちゃんがいいよ。

一番合ってると、そう思う。








「姉ちゃんに怒られるから、さっさと部屋の片付けしないと……」




やれやれ、なんてわざとらしく呟いて、俺は勉強もカップラーメンも忘れて、散らかった部屋を片付け始めた。
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