キミと、光の彼方へ。
「ねえ、珠汐奈。本当に行かなくていいの?」

「うん、いい」

「海里となんかあった?」

「何もない」

「何もなかったら、行くでしょ?」


あの日から2週間が経とうとしている。

明日は遂に海里の県大会だ。

あれから一度も海里には会っていない。

家が近所だというのに、奇跡かっていうくらい会わなくて、私だってびっくりしている。


「海里のフェリー出るの15時でしょ?あと5時間あれば準備出来るし、なんとか考え直したら?何があったか知らないけど、今まで喧嘩の1つもしたことがないからお互い対処に困ってるだけで、本当はお互い思い合ってるはずだって」


思い合ってる...。

例えそうだとしても、それは恋愛感情ではない。

お互いがお互いを傷付けたくなくて、心情を探り合って、関係を守っているだけだ。

そんな風に考えたくないけど、でもそれはきっと事実なんだ。

だから、私はもう...海里の側にいられない。

海里を真っ直ぐ見ることが出来ない。


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