キミと、光の彼方へ。
しかし、今の時間は道が出来ていない。

微かに砂が見えかくれしているから、もしかしたら渡れるかもしれない。

私は恐る恐る海に爪先を入れた。


「ひゃっ!」


思ったよりも海は冷たかった。

だが、怖じ気付いている時間などない。

今年1番の勇気を振り絞り、スタートを切った。

ところどころ深い場所もあるけれど、なんとか歩ける。

足を入れる度に心臓がひいひい言うほど冷たくて本当なら今すぐ逃げたいくらいなんだけど、逃げずに耐えた。

そして、ようやくマーメイドロードを渡り切った。

暗くてほとんど何も見えない。

そうだ。

スマホの灯りで......。

と、思ったが、急いで出てきたため何も持っていなかった。

なら、もう勘で行くしかない。

島の回りを足の感覚だけで探った。

しかし、そこにもなく、上に上ろうとした、その時に気づいた。

ここ......違う。

マーメイドロードじゃない。

そう言えば、たしか離れたところにももう1つ似たような場所があったんだった。

そうなると、急激に焦ってくる。

どうしようって不安になる。

帰ろう。

今すぐ帰ろう。

勢い良く振り返ったものの、その考えはすぐに打ち砕かれた。


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