キミと、光の彼方へ。
「そう言えば、さっきなんかあったか?」

「誰?アタシ?」


わざとなのかわざとじゃないのか、こういう時の砂良はよく分からない。


「違う。珠汐奈に聞いてる」


ああ、さっきのことか。

何かあったって気づいてくれてたんだね。

それは...嬉しい。

それだけでもう十分だ。


「ちょっと男子とぶつかっただけ。ケガもしなかったし、大丈夫」

「そっか...。なら、良かった」


海里は素っ気ないけど、やっぱり優しい。

私のことを心配して側にいてくれる。

そこに私と同じ感情が無くてもいい。

私の側にいてくれるだけでいい。

それだけで私の心は満たされてしまう。


「ふ~ん、それだけかぁ~」

「何か不満か?」

「べっつにぃ~」


と言いつつ私に視線を流してくる砂良。

この場合の砂良の言わんとしていることはなんとなく分かる。

でも、いいんだよ。

これでいい。


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