二人の距離~やさしい愛にふれて~
「そうか?芹沢君のくれた人形で感情のなかった理花が笑ったんよ。何もしゃべらんやったのに芹沢君との思い出の物を持ってきてほしいって言ったし。何もできないことないよ。逆に俺は今の理花に一番必要なのは芹沢君の気がするけど?芹沢君が迷惑じゃなければやけど…。」

理花の兄の言葉に恭吾の心は救われた気がした。
自分が必要だって言ってもらえたことがうれしかったのだ。

「なぁ、これ、芹沢君の番号?」

理花の兄は箱の中のレシートの裏に書かれた手紙の番号を指さしていた。

「はい。」

「登録していい?」

「えっ?…はい。」

「じゃあ俺からかけるけんそっちも俺の番号登録しとって。理花の携帯は解約したはずやけん何かあったらこっちに連絡して。」

もう会うこともないんだろうと思っていた恭吾は連絡先を交換したことで理花に会えるかもしれないと期待が湧いてきた。
そのことで本当はまだ自分が理花に会いたいと思ってるんだと自覚した。
それがどういった感情なのかはまだわからなかった。

「理花は…なんであんな生活をしてたんでしょうか?」

「・・・・・・・・・・・・・、カウンセリング?っていうので医者に話したらしいんやけど・・・・・・・、集団レイプに遭ったらしい…。自分でもわからんほどの人数に…気づいたら朝になってて、ようやく解放された理花は必死でその場から逃げ帰ったって…。もうすぐニュースにも出るはず。被害者は理花だけじゃないらしくて…その時に理花の何かが壊れてしまったんやろうって、普通は男性を嫌になると思っとったけど逆に男性との関係に執着することもあるらしい…。」
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