二人の距離~やさしい愛にふれて~
「名前、何ていうの?俺、ヤったやつの名前も知らないの嫌なんだけど?」

「……り、理花…お兄さんは?」

「恭吾、20才、理花は?何才?」

「…18、もうすぐ19。」

「やっぱり、若いな。魔女みたいな化粧してるときは年上かと思ったけど…似合わねーから化粧やめたら?」

「………」

恭吾は腕の力を緩め、理花を自分の横に下ろした。

「お前さ、死にたいとか言ってたけど、マゾではないよな?ヤりたがる割に楽しそうじゃねーし。」

「………わかんない。優しくされたのあんたが初めてだったから……怖かった…」

「フッ、何だよ怖いって…痛くとかしてねーのに…理花は自殺願望とかある人?」

理花は天井を見つめ、力なく頭を振った。

「さっき一緒にいた友達、ヨシって言うんだけどガキの頃からずっと一緒なんだ。親同士がすげー仲良くて…で、怒ってただろ?生きたくても生きれなかったって人は俺の親父なんだ。」

恭吾はゴロッと上を向くと理花と同じように天井を見つめる。

「3才の時に仕事中の事故だったらしい。あっ、でもさ俺にはまこちゃん…親父の兄貴で俺のおじさんな、がいたから寂しいとか思ったことはないよ。親父の記憶とか全然なくて俺にとって父親的存在はまこちゃんで、ウザいくらいそばにいてくれたし。」

「まこちゃん…よかったね。まこちゃんがいて。」

「ん?あぁ、そうだな。俺よりも母さんがなっ。って初対面の頭おかしいやつに俺なんでこんな話してんだろ…。」
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