二人の距離~やさしい愛にふれて~
「妬けるなぁ~、芹沢君は特別なんだなぁ。でも安心したよ。さぁ、ご飯は芹沢君のお粥を食べるんだったよね?僕も作り方を教えてもらっていつでも理花さんに作ってあげるよ。」

草野は大げさに腕まくりをする。
そんな草野を見て恭吾が笑うと、理花もクスクスと笑い出した。

恭吾が理花から離れ、コンビニで買ってきたものをベッド用のオーバーテーブルに並べた。

「本当は火にかけるんですけどレンジしかないみたいだったから上手く出来るかわかりまそんけど…」

そう言いながら持って来ていたタッパーにおにぎりのご飯だけ入れると水を入れてほぐす。
電子レンジは面会ルームにしかなく、恭吾が部屋を出ようとすると理花は急いでスリッパを履いて後を追った。

「自分から部屋を出るなんて芹沢君パワーはすごいなぁ。」

少しからかうように草野は言った。
理花はそんな草野をチラッと見ると恭吾の服の裾を握って一緒に面会ルームへ向かった。

「もし嫌じゃなかったら面会ルームでご飯食べる?看護師さんに伝えてくるよ?」

草野は理花の背中に聞く。理花は少し考えて頭を横に振った。

「俺達も一緒に食うからこっちがよくない?」

恭吾もそう言うが理花は力いっぱい裾を握ったまま頭を横に振った。

「まぁ、また気が向いたらでいっか。」

恭吾は理花の頭をポンポンとする。理花は俯き気味でひたすら恭吾の服を握っていた。
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