冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
ああ、だから今日まで恋愛感情が理解できず、本気になどなれなかったのか。
仕事の邪魔にしかならない面倒な縁談や会食が舞い込むのを避けるため、来るもの拒まずの姿勢で後腐れのない適当なパートナーを作ることはあった。
成人男性として人並みの性欲もあったので、誘われれば行為に及んだこともある。
だが、その誰もが澪と真反対の見た目や性格をしていたのは……知らず知らずのうちに、彼女と、重ねないためだったのだ。
……澪だけは、駄目だ。絶対に手を出してはいけない。
狼のような己の毒牙の下に組み敷いて、欲望のままに穢してはいけない。
――この激情は、誰にも悟られてはいけない。
いつの間にか心を占めていた、渇望にも似た初恋を呪う。
俺は理性で燃え滾る愛執を律すると、熱の籠った瞳を向けぬよう、殊更に彼女と距離を置き冷たくした。
しかし。そんな日々を揺るがしたのは、やはり鶴山さんの一言だった。
『宗鷹。君のような男が孫娘の婿になってくれるのなら、私にはもう思い残すことはない。私の可愛い孫娘を、この世で一番幸せにしてやってくれないか。……そしてどうか我が社を頼む』
仕事の邪魔にしかならない面倒な縁談や会食が舞い込むのを避けるため、来るもの拒まずの姿勢で後腐れのない適当なパートナーを作ることはあった。
成人男性として人並みの性欲もあったので、誘われれば行為に及んだこともある。
だが、その誰もが澪と真反対の見た目や性格をしていたのは……知らず知らずのうちに、彼女と、重ねないためだったのだ。
……澪だけは、駄目だ。絶対に手を出してはいけない。
狼のような己の毒牙の下に組み敷いて、欲望のままに穢してはいけない。
――この激情は、誰にも悟られてはいけない。
いつの間にか心を占めていた、渇望にも似た初恋を呪う。
俺は理性で燃え滾る愛執を律すると、熱の籠った瞳を向けぬよう、殊更に彼女と距離を置き冷たくした。
しかし。そんな日々を揺るがしたのは、やはり鶴山さんの一言だった。
『宗鷹。君のような男が孫娘の婿になってくれるのなら、私にはもう思い残すことはない。私の可愛い孫娘を、この世で一番幸せにしてやってくれないか。……そしてどうか我が社を頼む』