冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
私が慌ててキッチンに飛び込むと、彼は冷蔵庫を開けて食材を確認しながら首を振る。

「やっと体調が良くなった君に、料理はまださせたくない。それよりも」

腕捲りをした宗鷹さんは、こちらを振り向いてから目を細める。
その姿に思わずきゅんと胸がときめく。

「君が好きなものを作りたい。何かリクエストはあるか?」

「えっと」

そして、私はこの質問に弱い。

「それじゃあ、オープンオムレツが食べたいです」

「了解。とびきり美味しいのを作るから、君はそこに掛けて待っていてくれ」

「はいっ」

やったあ、宗鷹さん特製オープンオムレツだ! とさっきまでの勢いはどこへやら、目を輝かせて返事をする。
彼の手料理を食べるようになってから、私は自分が思いのほか食いしん坊だと気がついた。

早速カトラリーやグラスを用意して、彼に指定された場所へ向かう。
朝は大きな窓に囲まれるリビングルームにある黒い革張りのソファに座り、ローテブルに朝食を並べて時間を過ごすのが定番だ。
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