冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
「……唇、開けて」

それなのに、甘く下された命令に従ったが最後。
唇を割って入ってきた熱い舌が口内に這わされ、頭の中が未知の快感に真っ白になった。

「ふぁ……っ」

丹念に舌を絡め取られ、撫で上げられる。
違いの唇から溢れ落ちる艶やかな水音が鼓膜を打つたび羞恥心が増して、ドキドキと心臓の鼓動が大きくなった。

息もつけぬ深い深いキスのせいで体中に電気が走ったようにじんじんと痺れ、何度も小さく背中が震える。

……どうして、こんなに甘くて深いキスを私に教えてくれるの?

心に浮かんだ疑問に答えるように、脳裏には『たとえ君に嫌われていようと、今日からは容赦なく君を愛し抜く』という、今朝告げられた言葉が蘇る。

宗鷹さんには、ずっと嫌われていると思っていた。
だから、冷たい表情で『政略結婚に愛はいらない』と愛を拒絶したんだと思っていた。

それなのに、どうしてこんなに……まるで、本当に愛しているみたいに、強く優しく抱きしめてくれるんだろう。
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