冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
そうして、キッチンでてんやわんやしているうちに、十八時半になった。
そろそろ宗鷹さんが帰宅する時間だ、と考えていると、玄関でチャイムの音がして続いてガチャリと鍵が開けられる音がする。
出来上がった夕食はまだ並べずにキッチンに残したまま玄関ホールに真っ直ぐ向かう。
「お帰りなさい、宗鷹さん」
「ただいま。岩国さんも一緒だ」
宗鷹さんの長身に隠れていた細身の老紳士が、ひょこりと茶目っ気たっぷりに顔を出す。
この仕立ての良いブラックスーツ姿の男性、岩国さんは、老舗百貨店『鶴来屋』銀座本店の外商さんだ。
「岩国さん! こんばんは、今日はお世話になります」
「こんばんは、お嬢様。三十分も早くに突然すみません。ご予定のお時間より少し早めに到着しておりましたら、旦那様に見つかってしまいました」
「いえいえ、どうぞ上がってください」
私は岩国さんをリビングに案内して、お茶を淹れる。
外商の担当者として昔から祖父母や両親と仲が良かった彼は、祖父母がいた頃など櫻衣本家によく来てくれていた。
そろそろ宗鷹さんが帰宅する時間だ、と考えていると、玄関でチャイムの音がして続いてガチャリと鍵が開けられる音がする。
出来上がった夕食はまだ並べずにキッチンに残したまま玄関ホールに真っ直ぐ向かう。
「お帰りなさい、宗鷹さん」
「ただいま。岩国さんも一緒だ」
宗鷹さんの長身に隠れていた細身の老紳士が、ひょこりと茶目っ気たっぷりに顔を出す。
この仕立ての良いブラックスーツ姿の男性、岩国さんは、老舗百貨店『鶴来屋』銀座本店の外商さんだ。
「岩国さん! こんばんは、今日はお世話になります」
「こんばんは、お嬢様。三十分も早くに突然すみません。ご予定のお時間より少し早めに到着しておりましたら、旦那様に見つかってしまいました」
「いえいえ、どうぞ上がってください」
私は岩国さんをリビングに案内して、お茶を淹れる。
外商の担当者として昔から祖父母や両親と仲が良かった彼は、祖父母がいた頃など櫻衣本家によく来てくれていた。