冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
両親も何かとお世話になっていたので、岩国さんと思い出は多い。
しかし、五年くらい前から櫻衣家は家計が圧迫されていたので、鶴来屋での買い物も減っていた。
上得意様専用サロンの会員証カードは徐々に届かなくなり、家に直接外商さんを呼んだりもしなくなったため疎遠になっていたのだ。
三週間前に久しぶりにこの家で再会した時には、『まさか澪お嬢様と宗鷹坊っちゃまがご結婚なさっているとは、驚きました!』と心底仰天したあと、彼はまるで親戚のように喜んでくれた。
なんと、岩国さんは昔から菊永家の担当者でもあったそうだ。
「こちらが、出来上がりました結婚指輪です。どうぞ、お手にとってご確認ください」
白い手袋を付けた岩国さんがアタッシュケースから、丁寧にベルベット製のリングケースを取り出す。
恭しく差し出されたそれには、壮麗な輝きを秘めた結婚指輪が並んでいた。
「わあ〜。素敵ですね」
外出禁止令中だったため、前回もここで彼に結婚指輪を見せてもらった。
しかし、五年くらい前から櫻衣家は家計が圧迫されていたので、鶴来屋での買い物も減っていた。
上得意様専用サロンの会員証カードは徐々に届かなくなり、家に直接外商さんを呼んだりもしなくなったため疎遠になっていたのだ。
三週間前に久しぶりにこの家で再会した時には、『まさか澪お嬢様と宗鷹坊っちゃまがご結婚なさっているとは、驚きました!』と心底仰天したあと、彼はまるで親戚のように喜んでくれた。
なんと、岩国さんは昔から菊永家の担当者でもあったそうだ。
「こちらが、出来上がりました結婚指輪です。どうぞ、お手にとってご確認ください」
白い手袋を付けた岩国さんがアタッシュケースから、丁寧にベルベット製のリングケースを取り出す。
恭しく差し出されたそれには、壮麗な輝きを秘めた結婚指輪が並んでいた。
「わあ〜。素敵ですね」
外出禁止令中だったため、前回もここで彼に結婚指輪を見せてもらった。