冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
夕食後、ソファに座ってコーヒーを飲む彼をそっと窺う。
哀愁に沈む宗鷹さんは、写真立てを気にしているようだが手は伸ばさない。だから。
「見てもいいですか?」
「……ああ」
私はそっと、写真立てを手に取る。
そこには笑顔満開の若い祖父母と、はにかむような微笑みを浮かべた十四歳くらいの宗鷹さんの姿があった。
今よりも少し中性的なニュアンスを持ち合わせた彼は、絶世の美少年と言っても過言ではない。
琥珀色の氷のような冷徹な双眸が印象的で、どことなく黒猫のような可愛さがある。
こんなに昔から宗鷹さんと祖父母に縁があったなんて……と感慨深く思ったところで、ふと、頭の中に記憶が蘇る。
「あの時の……お兄さま。あの人は、宗鷹さんだったんですね」
ぽつりと呟くと、宗鷹さんは「悪かった」と消え入りそうな声で答えた。
七歳の十二月。せっかくだからクリスマスパーティーを開こう、と提案したのは祖父だった。
哀愁に沈む宗鷹さんは、写真立てを気にしているようだが手は伸ばさない。だから。
「見てもいいですか?」
「……ああ」
私はそっと、写真立てを手に取る。
そこには笑顔満開の若い祖父母と、はにかむような微笑みを浮かべた十四歳くらいの宗鷹さんの姿があった。
今よりも少し中性的なニュアンスを持ち合わせた彼は、絶世の美少年と言っても過言ではない。
琥珀色の氷のような冷徹な双眸が印象的で、どことなく黒猫のような可愛さがある。
こんなに昔から宗鷹さんと祖父母に縁があったなんて……と感慨深く思ったところで、ふと、頭の中に記憶が蘇る。
「あの時の……お兄さま。あの人は、宗鷹さんだったんですね」
ぽつりと呟くと、宗鷹さんは「悪かった」と消え入りそうな声で答えた。
七歳の十二月。せっかくだからクリスマスパーティーを開こう、と提案したのは祖父だった。