冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
「どうって……?」

まっすぐに向けられる熱い視線から、目が離せない。
私はぽうっとしながら、美しく妖艶な琥珀色の瞳の中に灯る感情を読み取ろうとする。

心配、ではない。疲労、でもない。
憤怒や熱情に近いそれは、どちらかというと、もっと、それ以上に何かを渇望するような――。

「澪。随分と扇情的な格好をして、『一緒に寝室に行きたい』なんて……。誘っていると捉えられても文句は言えないと、理解しているのか」

『誘う』って、どういうこと?

「それとも、誘われていると捉えた方が都合がいいか? そういえば、もっと気持ち良くなるキスを教えてやると約束していたんだったな」

「へ……?」

まさか『誘う』って、もっとキスしてほしいと私が宗鷹さんにお願いしてるって意味!?
彼の言葉の意味を理解して、今まですでに熱かった頬が、さらにかぁああっと赤くなるのがわかった。

「そ、そんな私、誘ってなんか」

「潤んだ瞳で見つめられても説得力に欠けるな」

恋愛経験ゼロの私にとっては、さっきのキスですでに頭も心もショート寸前だ。
思い出しただけでも心臓がドキドキとして鼓動が早いし、感覚が蘇った唇はとろけそうに熱いし……体はじんじんと火照っている。
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