冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
イケメンで女性からモテモテの宗鷹さんはご存知ないかもしれませんが、私は生まれてから二十五年間一度も恋人ができた経験のない、恋愛初心者なんですよ……っ。

なんて叫ぶこともできず、羞恥で頬を染め、わたわたと忙しなく腕を振る。

「それなら狼に食べられないよう、しっかり自衛することだ。君には隙が多すぎる」

そう言うや否や、宗鷹さんは強引に私の腰を抱き寄せる。

「ひゃあっ」

「さて、困ったお嬢様に道を教えないとな。君の帰る家は今日からここになったんだ。俺と君の寝室くらい、きちんと覚えてくれ」

そのまま勢いよく、まるで攫うように私を抱き上げると、彼はゆったりとした足取りでリビングルームを出た。

太もも辺りを逞しい腕で支えられ、まるで宗鷹さんの肩に寄りかかるように抱き上げられるなんて初めての経験で、緊張してしまう。

私の視界は、なんと百八十センチを越えた高い位置にあった。恐る恐る見下ろすと、艶やかに整えられた藍墨色の髪とつむじが目に入る。
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