冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
ドキドキと心臓が早鐘を打つのが耳鳴りのように響く中、居ても立っても居られず身を捩ると、「まったく、君は」と溜め息混じりの声が眼下から聞こえた。
その溜め息が布を通り超して、微かに素肌へ届く。
熱く湿り気のある空気が胸の頂きを撫でるように通り過ぎ、思わず『あっ』と唇から声が漏れそうになった。
たまらずに、私は小さく震えてきゅっと目を瞑って耐える。
「もうすぐ着くから、そう動くな」
「は、い」
「捕まえていないと、すぐにどこかへ行きそうだな。俺は、これから一生、君に一人暮らしを許すつもりはないんだ。だから、逃げようとするのはもう諦めてくれ」
宗鷹さんは私が暴れているのだと勘違いしているのか、かなり呆れているみたいだ。
「も、もう逃げたり一人暮らしに挑戦したりせず、私の役割を全うすると約束できます」
「それは妻としてか?」
「もちろん、です」
知らなかったとはいえ、二年間も縁談を無視し続けた私は間違いなく重罪だが、〝妻〟の責務を果たす覚悟はある。
祖母が祖父を、そして母が父を支えてきたように、結婚するからには私も宗鷹さんを支えたいと願うのは、決しておかしくないはずだ。
その溜め息が布を通り超して、微かに素肌へ届く。
熱く湿り気のある空気が胸の頂きを撫でるように通り過ぎ、思わず『あっ』と唇から声が漏れそうになった。
たまらずに、私は小さく震えてきゅっと目を瞑って耐える。
「もうすぐ着くから、そう動くな」
「は、い」
「捕まえていないと、すぐにどこかへ行きそうだな。俺は、これから一生、君に一人暮らしを許すつもりはないんだ。だから、逃げようとするのはもう諦めてくれ」
宗鷹さんは私が暴れているのだと勘違いしているのか、かなり呆れているみたいだ。
「も、もう逃げたり一人暮らしに挑戦したりせず、私の役割を全うすると約束できます」
「それは妻としてか?」
「もちろん、です」
知らなかったとはいえ、二年間も縁談を無視し続けた私は間違いなく重罪だが、〝妻〟の責務を果たす覚悟はある。
祖母が祖父を、そして母が父を支えてきたように、結婚するからには私も宗鷹さんを支えたいと願うのは、決しておかしくないはずだ。