僕だけにナデナデさせて アミュ恋 3曲目

 息をは~は~ときらしながら、
 春輝くんは、
 柱に縛られた私の方に、走ってくる。



 誰か、私の縄をほどいて!!
 今すぐ、逃がして!!

 春輝くんが
 私のところに来る前に……


 だって私、どんな顔で
 春輝くんと目を合わせていいか、
 わからないから。



 春輝くんの顔なんて
 見る勇気がなくて

 ドキドキがおさまらないまま
 視線を下げ、
 ねずみ色のステージを
 見つめていたけれど。



 そんな私を
 無視するかのように、

 春輝くんは
 私の背中側に回った。



 そして無言で
 柱に結ばれた縄を、ほどきだした。



 とりあえず、
 縄が解かれたら、ダッシュで逃げよう。


 春輝くんに
 「ありがとう」だけ伝えて。

 その後は、会場の出口に向かって
 ひたすらダッシュで。

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