ボーダーライン。Neo【中】

 ペットボトルを持つ手にグッと力を入れ、静かにそれを机上へと下ろした。

「この仕事を受ける事で、俺らの人生が大きく左右されると言っても、過言ではない」

「なにそれ、何かの啓示?」

 陸の台詞を(はや)しながら、ソファーに腰を下ろす。

「いやいや。どう考えても過言でしょ?」

 向かいのカイが、雑誌を捲りながら毅然とした態度で答えた。

「カイは冷静だよなぁ。俺なんかエドに対面したらそれだけで泣いちゃいそうなのに」

「アハハっ! ヒノって意外と涙もろいもんな?」

「うるせ」

「意外と、じゃないよ、陽介。ヒノキは昔っから泣き虫」

「ハイそこ、堂々と悪口言わない!」

 ビシッと指を差すと、カイはおどけて肩をすくめた。

「それから、あともう一つ報告が有るんだけど」

 僕たちが談笑を続ける中、竹ちゃんは控え目に口を挟んだ。

 ピタリと私語をやめ、再び彼に注目する。

「来週のミュージック・パラダイスでも、彼らと出演が決まってるから」

「彼らって」

「‘Star Blacks’?」

 竹ちゃんは、ああ、と頷いた。
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