ボーダーライン。Neo【中】
だけどあれは女特有の妬みであり、上河さんの私利私欲の為に別れを強いられていると、そう考えてしまう。
あの写真さえ撮られていなければ、要求なんて突っぱねていたのに。
あたしは眉間を歪め、雑誌を入れたマガジンラックへ目を向けた。
手前に見える女性ファッション誌には、先月美波が取材した記事が載っている。
ーー美波に相談しようか?
そう思った所で、いやいやと首を振る。
八月のあのライブ以降、美波に檜の相談をするのは一切止めていた。
美波の気持ちを知っていながら、その恋の相談なんて出来ない。彼女という立場を見せ付けるような、嫌らしさすら感じる。
親友に嫉妬されたくない。もう、あんなキツい言葉も聞きたくない。
あの写真さえ、撮られていなければ……っ。
証拠となる画像を思い出し、ハッとなった。
ーーそうよ、写真よ。あんなのがあるからいけないんだ。
何であの時、携帯を取り上げて破棄しなかったんだろう??
つい小一時間前の事を思い返し、いやいや、とまた首を振る。
ーーきっとあの子の事だ。写真のバックアップぐらいちゃんと取ってるはず。
考え過ぎて頭が痛い。クラクラする。