世界一運の悪い女
まさかの、大失敗を犯してしまっていた。
彼からの手紙は鞄の中にいれたまま姉に渡すことを、今の今まで失念していたのだった。
「ごめん、まだ読んでないと思う。返事を聞くのは、明日以降にしてほしい」
「ええ?読んでないと思うってどういうこと?」
彼は、言い捨てて行こうとするわたしの手を掴んだ。
「ごめんなさい。本当は、まだ渡せていないの」
「いや、手紙はあなたにちゃんと渡した」
「もう、だから、わたしが姉に渡せていないから、姉は読んでないのよ」
どうも話がかみ合っていない気がする。
わたしも彼も必死だった。
振りほどこうとしても彼はわたしを離さない。
「ちょっと待って。お姉さんがどうして登場する?僕が手紙を渡したのは山吹さくらさん、あなただ。
僕は毎日、運動場を走るあなたを見ていた。
何人も走っているのに、自然と追ってしまうのはあなただった。
雨の日だって、風の日だって、カンカン照りの日だって、走るあなたを見た。
僕は図書館での勉強の合間に、数式を解く合間に、あなたを見続けてしまった。
問題を解いても、何をするにしても、あなたが結び付いてしまっている。
こんなに苦しい思いをしつづけるのなら、せめてあたってくだけようと思って手紙をかいたんだ。
読んでくれたのなら、少なくとも、ぼくという存在を知ってくれるだろ?
手紙を書く前には、話したくて、あなたの後を追ったこともある。
駅まで走る後を追って、、、息がきれて、、、追いつけなかった。
人生初の、僕の完敗だった。だから今度は待ち伏せすることにした。
手紙を渡してからは、あなたが、図書館の僕を見上げるのを待った。
だけど、いちども見上げられなかった。今日も待ったけど同じだった。
もう待てない。直接、あなたから、返事を聞かせて欲しい」
彼からの手紙は鞄の中にいれたまま姉に渡すことを、今の今まで失念していたのだった。
「ごめん、まだ読んでないと思う。返事を聞くのは、明日以降にしてほしい」
「ええ?読んでないと思うってどういうこと?」
彼は、言い捨てて行こうとするわたしの手を掴んだ。
「ごめんなさい。本当は、まだ渡せていないの」
「いや、手紙はあなたにちゃんと渡した」
「もう、だから、わたしが姉に渡せていないから、姉は読んでないのよ」
どうも話がかみ合っていない気がする。
わたしも彼も必死だった。
振りほどこうとしても彼はわたしを離さない。
「ちょっと待って。お姉さんがどうして登場する?僕が手紙を渡したのは山吹さくらさん、あなただ。
僕は毎日、運動場を走るあなたを見ていた。
何人も走っているのに、自然と追ってしまうのはあなただった。
雨の日だって、風の日だって、カンカン照りの日だって、走るあなたを見た。
僕は図書館での勉強の合間に、数式を解く合間に、あなたを見続けてしまった。
問題を解いても、何をするにしても、あなたが結び付いてしまっている。
こんなに苦しい思いをしつづけるのなら、せめてあたってくだけようと思って手紙をかいたんだ。
読んでくれたのなら、少なくとも、ぼくという存在を知ってくれるだろ?
手紙を書く前には、話したくて、あなたの後を追ったこともある。
駅まで走る後を追って、、、息がきれて、、、追いつけなかった。
人生初の、僕の完敗だった。だから今度は待ち伏せすることにした。
手紙を渡してからは、あなたが、図書館の僕を見上げるのを待った。
だけど、いちども見上げられなかった。今日も待ったけど同じだった。
もう待てない。直接、あなたから、返事を聞かせて欲しい」