ビッチは夜を蹴り飛ばす。
 

 めいちゃんは、と意地悪く言われてうえぇ、と声が漏れる。何それ何それなんだそれ、じゃあなんであたしの体触ったの、手だけで二回もいかせといて責任とってくんないの、って潤んだ瞳で見てたら自分でしてって言われた。え?





 自 分 で し て ? ?















「視姦したい」

「…しか、え、しぬの」
「違う」


 しないならいーやおやすみって背を向ける硯くんにウワアアアアア!! ってしがみ付く。あたしたぶん汚れてるから適度に距離を置いてしがみついたのにそしたら肩越しに鳶色の目で見られて硯くんの裸眼だ、って見上げたら綺麗すぎて震えてきた。
 いつもカラコンしてるもんね、でも寝るときは裸眼だよ普通そうだよねふんふんって今そうじゃなくて。


「…し、したら、してくれる、の」

「その気になったら」


 鳴の頑張り次第、と笑われてほんとかよと思う。


 で、でだ。このまま結局何も出来なかったら寝れないし、どうしたらいいかわかんないから少しの間見つめあってどうしたらいい、って訊いたらちょっとは考えたらって言われた。こういうとき容赦無く突き放すのが硯くんだ。優しさのかけらもない。だから。なので。

 よくわかんないまま片手を口に入れてみて、硯くんにされて普段どうしたら頭がおかしくなるかを自分なりに考える。口に絶対手、入れる。で、それで苦しくなって。軽く服をたくし上げて、見えないくらいで触ってみたらもっとちゃんと上げてと言われて睨むのに伏し目がちで顎で指図される。顎やめろ。

 で、で。


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