裏切り姫と恋の病





少し歩く速度をはやめてみると、あっちの地面を蹴る靴音がハッキリと聞こえ、確信する。


逃げなきゃ、やばい。


どうしてつけられているのか、私だって分からないけど。


怖い。


久しぶりに感じる恐怖に、足の力が入らなくて。



「ーーっ」


何もないところで、ズサッと勢いよく転んでしまった。


辺りを見渡せば、遊具のない、ベンチと微かな光がある街灯のみで。



不審者(ふしんしゃ)注意』と書かれた貼り紙が、ぶれた視界に入る。



ーーコツ、コツ、……ピタッ。



すぐ後ろで人の気配(けはい)を感じ、息を呑む。


転んだままの体勢で、地面に手をつけながら恐る恐る後ろを振り返ると。






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