裏切り姫と恋の病
「お前、観月希乃香だな?」
黒いフードを深く被った男が突然。
私の名前を呼ぶから、驚いて、目を見開く。
「だっ、誰……?」
「お前、四季の総長の女だろ?」
「えっ……ちがっ」
「嘘つくんじゃねえ!!」
「ーーッ!?」
男の声が、木が微風でザワついた暗い公園に響く。
怖い……怖い、怖い。
男の怒鳴り声は、あの男のことを思い出す。
「……っ」
古傷が傷んで、無理矢理にでも震えを止めようと、右手で左手首を掴むけど。
全然、震えが収まらない。
「やっと見つけたぜ……四季の弱み。
今からお前は人質だ」
「……っ」
「大人しくしろよ」