ボーダーライン。Neo【下】

「美波さん……」

 楽屋で記事を読み終え、僕はポツリと呟いていた。

 ーーこれ。内田や他のみんなも協力してくれてる。

 週刊誌を持つ手にぐっと力がこもる。

 高校生だったあの頃、体育館での一件は単なる自己満足に過ぎない行為だと思っていたのに、こうして文章から彼らの想いを知ると、感動にも似た気持ちが湧き、胸が熱くなった。

「次! Hinokiさん、お願いしまーす!」

 楽屋の扉が開き、スタッフから召集がかかる。

「ああ、はい」

 今は、秋に控えた全国ツアーに関して、音楽雑誌の巻頭グラビアを飾る取材の最中だ。

 僕は週刊誌を机上へ置き、ドアに向かって歩きだす。

 ーー後で美波さんと内田にお礼の電話を入れておかないとな。

 ***

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