ボーダーライン。Neo【下】

「……あたし達の交際が学校にバレた日。あたし達が……一度別れた日」

 ベッドに座りながらそう言うと、檜は怪訝に顔をしかめた。

「何でそんな日にすんの? 何か縁起悪くない?」

 あたしは、ううん、と首を振る。

「あの日を。嫌な思い出の日にちにしたくないの。十月二十九日に入籍して、その日を結婚記念日にしたら、ああ、昔は辛かったけど結果的にはハッピーになれたから良かったなって、そう思える気がして」

「……ふぅん」

 檜は分かったような分かってないような表情で首を傾げていたが。

「まぁ、幸子がそうしたいって言うなら、俺はそれがベストだと思うよ?」

「ありがとう」

 彼を見つめて微笑むと、檜が「あ」と何かを思い出したように話題を変えた。

「あとさぁ。これは幸子と話し合ってから、おじさんとおばさんに言おうと思ってた事なんだけど」

「え、うん。なに?」

「一緒に住まない? 俺の部屋で」

「え」

 ーー……一緒に、って。同棲?

「だってさ。もう結婚する事は本決まりだし、後は結婚式挙げたり、籍入れたりするだけじゃん? それまで別々に暮らす意味なくない?」

「それは……」

 ーー確かにそうかもしれないけど。良いのかな?
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