ボーダーライン。Neo【下】
「明日とかは流石に急だから無理だと思うけど、今週のどこかで幸子の荷物運んで、一緒に生活しようよ? だめ?」
ーーだめ、じゃない。けど。
「良いのかな? 事務所の社長さんに怒られたりしない?」
「しないよ? ちゃんともう許可取ってあるから」
ーーそうなんだ。抜かりないな。
「じゃあ……一緒に住みたい」
「俺も。決まりな!」
不意を突いて、檜の唇にチュッとキスをされる。ベッドの端に座ったまま、暫く彼の香りに包まれ、甘い痺れに酔いしれた。
その後、親に許可を貰うため、二人でまたリビングに戻り、同棲したい旨を話した。母は少しだけ戸惑っていたが、父の快諾によって賛成を得られた。
四日後に引っ越す段取りをして、その日は檜を見送った。
引っ越しの日。仕事を終えた檜に、実家まで迎えに来て貰い、あたしは檜のマンションへやって来た。
そこに檜が事前に呼んでいたマネージャーさんが待機していて、あたしは「初めまして」と挨拶を交わした。
そこそこ多い荷物を檜とマネージャーの竹原さんと三人で運び込んだ。
それが終わるなり、竹原さんはさっさと帰ってしまったので、あたしの荷物運びのために来てくれたマネージャーさんに申し訳なく思った。
あたしは部屋に運んだ荷物の説明をする。