僕らはその名をまだ知らない
「ん…っ……」



志摩は吐息ですらも掬いとるように唇を重ねる。



腰に回された手は背中の窪みを、髪に差し入れられた指先は耳の縁をつ、と撫でた。



それだけで、くたりと力が抜けてしまう。



「っあ、…ゆづ、」



熱い。



志摩の触れるところ、全部熱くて、甘くて、溺れそう。



頭の芯が白くなって、もう何も考えられない。



絡め取られた舌が微かな水音を鳴らして、ぞくりと痺れにも似た何かが背筋を駆け上がった。



「ん……ふ、ぁ…っ」



志摩のキスは口、頬、耳と移動していく。



そして、志摩の柔らかい髪が頬に触れて、首筋の一点を強く吸われる。



「……っ」



志摩の熱い舌が、手が、扇情的に肌を滑る。



いつの間にか付けられた紅い花は、制服のギリギリ内側に4つ。



「…煽ったお前が悪いよ」



「……ぁ」



志摩の瞳は見たことの無いほどの熱を孕んでいた。



その熱に当てられて引いた右足の踵が、机に当たって音を立てる。



結弦、ともう一度名前を呼ぼうとして───
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