暗闇の先に…
ガタンゴトンと流れる景色は都会から田舎へと風景を移し変えながら、見慣れた町へ辿り着く
電車から降りて向かった先は いつもの海
波の音は、荒れた私の心を落ち着かせてくれた
次の日の夜、帰って来た酒井さんは凄い勢いで私の部屋に姿を現した
「彩!ただいま!!ちょっと聞いて〜!」
ニコニコと笑顔を見せると、興奮気味で私の隣に腰を下ろした
「お帰りなさい、彼氏と楽しんできました?」
「うん!それがさっ彼氏が一緒に住もうって言ってくれてね。急なんだけど、仕事を3月いっぱいで辞めようと思ってるの」
幸せそうに話す酒井さんを見て、嬉しい反面ちょっと寂しくなった
「……っ…そうなんですね、良かったじゃないですか!幸せになって下さいね!!」
そんな私に気付いた酒井さんは、私の頭を撫でながら困ったような笑顔を向ける
「彩。離れるのは ちょっと寂しいけど、一生の別れじゃないんだし…また会えるよ?そんな泣きそうな顔しないで?」
そう言われた瞬間、ホロリと溢れた涙を腕で拭う
昨日、地元に戻ったせいか気持ちが不安定だ
その日は酒井さんと一緒に眠りについた