暗闇の先に…
「あの日…何で突然、何も言わずに お前がいなくなったのか ずっと分からなかった……何ヶ月か過ぎて、菜摘が仲間にお前がいなくなった理由を自慢気に話してたんだ。俺が聞いてるとも知らずにな」
陸斗が言っている意味がわからない
「でも……あの時、私に出て行くように言ったのは、陸斗なんじゃないの?私に…会いたくなくて菜摘に…伝言、したんでしょ?」
震える声で言う私の顔を覗き込まれる
「彩夢。俺はそんな事、一言も言ってない」
陸斗の色素が薄い アーモンド色の瞳がジッと私を見つめる
「………え?………だって、あの日の朝、菜摘が私に そう言ってたし……それに、一週間前も…」
頭が混乱し 話しの内容を整理するのに時間がかかる
「……一週間前?菜摘に会ったのか?」
頭の上から低い声が聞こえて、ハッと陸斗を見ると眉間にシワを寄せ鋭い目つきになっていた
「り…くと?」
肩に置かれた手に、力が入るのがわかった
「菜摘、何て言ってた?お前に何を言ったんだ?」
鋭い双眼から逃げるように、思わず顔を逸してしまった