子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
客席は満杯。
私はデッキに出て、潮風に長い髪を預けながら、海を眺める。
海を見ているとやっぱり拓郎を思い出した。

感傷に浸っているとキャスターのタイヤを上げてくれたカンカン帽子に黒サングラスの男性もデッキに上がって来た。

そして、私の前で蹲ってしまった。

「ど、どうしたんですか??」

私は突然のコトで最初は驚いたけど、彼の前にしゃがみ込み顔を覗き込む。

「気分が悪い・・・」

「もしかして…船酔いですか?」

「多分・・・」

彼は口許を押さえ、今にも吐きそうだった。

「ともかく・・・座りましょう・・・立って下さい!!」

私は彼を立ち上がらせ、近くのベンチに座らせた。

「待ってて下さい・・・直ぐに水を持ってきます」

「お願いします・・・」

「私のキャスター見てて下さいね・・・」

私は慌てて自販機に行き、ペットボトルのミネラルウォーターを買ってきた。

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