子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
俺は藤崎支配人と共に、ホテル内を巡回した。
「筒見さん」
ロビーでバッタリと東亜医科大付属病院の脳神経外科に勤務する伊集院和寿(イジュウインカズ)先生に出くわす。
彼の父親は伊集院千歳(イジュウインチトセ)院長で脳神経外科のパイオニア。
五年前の手術は院長が執刀。
その後は、抗がん剤治療、化学療法を経て完治し、今は三ヵ月に一回の経過観察のみ。
今現在は彼が俺の主治医。
軽口の院長とは逆のタイプで、シムレスフレームの眼鏡を掛け、インテリジェンスな理知的なタイプ。
「伊集院先生」
「社長、私は先に行っております」
「あぁ」
支配人は俺達を気遣い、先に行ってしまった。
「今日はどのような用件で当ホテルに・・・」
「学会ですよ・・・」
「仕事ですか・・・」
「変わったコトはありませんか??」
「変わったコト?あ・・・よく夢に出て来た女性と、最近出逢いました」
「・・・あ…良くお話されてた女性のコトですか・・・」
「運命的なモノを感じてしまって・・・結婚しようと考えてます」
「・・・俺もあれから・・・色々と考えたんですが・・・その女性とはもしかすると過去に出逢ってる可能性もなくはないと思いまして・・・」
「えっ?それって…どう言う意味ですか??」
「・・・手術によって・・・失われた記憶ですよ・・・」
手術前に、腫瘍を取り除く際に、もしかすると記憶障害になるかもしれないと告知された。
でも、それ以上に成功率の低さが俺にはネックだった。
しかし、手術は成功した。術後、全く仕事にも生活にも支障は出なかった。俺は記憶障害になどかかっていないモノだと認識していた。
「俺は記憶など失ってませんよ・・・現に退院後すぐに仕事も出来たし、全ての人達のコトだって憶えていました」
「そうですよね・・・」
伊集院先生は首を傾げ、スマートフォンで時間を確かめた。
「いけない…学会の時間に遅れる・・・では、また・・・筒見さん。病院でお待ちしています」
「はい」
「筒見さん」
ロビーでバッタリと東亜医科大付属病院の脳神経外科に勤務する伊集院和寿(イジュウインカズ)先生に出くわす。
彼の父親は伊集院千歳(イジュウインチトセ)院長で脳神経外科のパイオニア。
五年前の手術は院長が執刀。
その後は、抗がん剤治療、化学療法を経て完治し、今は三ヵ月に一回の経過観察のみ。
今現在は彼が俺の主治医。
軽口の院長とは逆のタイプで、シムレスフレームの眼鏡を掛け、インテリジェンスな理知的なタイプ。
「伊集院先生」
「社長、私は先に行っております」
「あぁ」
支配人は俺達を気遣い、先に行ってしまった。
「今日はどのような用件で当ホテルに・・・」
「学会ですよ・・・」
「仕事ですか・・・」
「変わったコトはありませんか??」
「変わったコト?あ・・・よく夢に出て来た女性と、最近出逢いました」
「・・・あ…良くお話されてた女性のコトですか・・・」
「運命的なモノを感じてしまって・・・結婚しようと考えてます」
「・・・俺もあれから・・・色々と考えたんですが・・・その女性とはもしかすると過去に出逢ってる可能性もなくはないと思いまして・・・」
「えっ?それって…どう言う意味ですか??」
「・・・手術によって・・・失われた記憶ですよ・・・」
手術前に、腫瘍を取り除く際に、もしかすると記憶障害になるかもしれないと告知された。
でも、それ以上に成功率の低さが俺にはネックだった。
しかし、手術は成功した。術後、全く仕事にも生活にも支障は出なかった。俺は記憶障害になどかかっていないモノだと認識していた。
「俺は記憶など失ってませんよ・・・現に退院後すぐに仕事も出来たし、全ての人達のコトだって憶えていました」
「そうですよね・・・」
伊集院先生は首を傾げ、スマートフォンで時間を確かめた。
「いけない…学会の時間に遅れる・・・では、また・・・筒見さん。病院でお待ちしています」
「はい」