すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
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「僕の気配を察するとは流石だね 姫君の護衛は」

すぐに剣が抜けるように警戒しながら、姿を現す。

悪事がバレたと攻撃を仕掛けてくるか、それとも同じ護衛官だと気付いて警戒を解くのか。

「あ…なたは、王子殿下の護衛官殿か」

警戒は解いたものの、しまったー見られたーという表情が素直に見て取れた。

気配を消した自分に気付くくらい優秀なヤツだと感心したのに、感情がダダ漏れでいいのだろうかと思わず心配になるくらいだ。

扉の前で話をするにはちょっと複雑だと場所を変える。

警備や従者の詰所で周囲に誰もいないのを確認してから話し出す。

「先程の女性を図書館から尾行してきたんだが、彼女はいったい…?」

「えーと…ユナ姫様、本人です」

「はい?」

「姫様はタヤカウ国にいる時から書物が好きで、ポイコニー国に来る時も新しい本が読めるかもと、それは楽しみにしていらして…お忍びで図書館通いを・・・」

「図書館で故意に、王子殿下に近づいたわけではない、と?」

「え? 王子殿下に会われてたんですか?」

「・・・・・」

そこでふたり、顔を見合わせて気付く。

お互いに気付いていない。

ぷ。

思わず吹き出し肩を震わせて声を押える自分に対して、笑ったら悪いですからーと苦笑に留めている彼がいて、こいつ結構いいヤツだと認識する。

ユナ公女とキーマ王子殿下のお互いの情報を共有して、今後の対応について協力体制を組む。

「姫君の図書館通いは了解した」

「はい、よろしくお願いします」

不審者として咎められるような事がないよう、また大学棟への移動についても、予想外の事が起こらないように陰ながら注意・護衛をするという事で話がついた。

もちろん、本人たちには内緒で。
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