すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
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「姫様、今日は王子殿下から果物が届いていますよ」
「え?」
籠に盛られた新鮮な果実が数種類。
ポイコニーに来て1か月ほど経つが、初めてのことだ。
「…本当にキーマ様からなのかしら……」
「姫様…」
疑心暗鬼の呟きにサリは苦笑を漏らす。
「王子殿下の侍従のシリン様から受け取りましたので、間違いないですよ」
ふと、籠の中にカードが添えられているのに気付いた。
『いつも仕事で時間が取れなくて申し訳なく思っている。待っていて欲しい』
「良かったじゃないですか、姫様」
サリは喜んでいたけれど、複雑な思いが胸を占める。
キーマ第2王子殿下の婚約者。
その立場を忘れたことはない。
親同士が決めた、どこからどう見ても政略結婚。
大国の公女であることで国同士の力関係を考慮されている。
厄介者とまで思われていなくても、対応に戸惑っているのを感じていた。
嫌なら断ってくれたらいいのに…タヤカウ国で居ない者として兄姉から無視されることも慣れてたけれど、やっぱりそれは悲しいから。
そんな中、突然届いた手紙。
本当に、待っていていいのかな。
嬉しくないとは言わないが、カタチだけのモノかもしれない。
期待した分、失望するのが怖いのだ。
だから、向き合うことよりも目を逸らしていた自分に気づいた。
『今度、北の研究施設へ行く予定があるから、道中の案内できるけど?』
先日、話の流れでついでのように告げられた言葉。
『都合が良ければだけど』
ごめんなさいと断りの言葉を紡げたけれど。
すぐに言葉は出なかったのを思い出す。
楽しそうかもしれない。
最初にそう思ってしまったのだ。
「姫様、今日は王子殿下から果物が届いていますよ」
「え?」
籠に盛られた新鮮な果実が数種類。
ポイコニーに来て1か月ほど経つが、初めてのことだ。
「…本当にキーマ様からなのかしら……」
「姫様…」
疑心暗鬼の呟きにサリは苦笑を漏らす。
「王子殿下の侍従のシリン様から受け取りましたので、間違いないですよ」
ふと、籠の中にカードが添えられているのに気付いた。
『いつも仕事で時間が取れなくて申し訳なく思っている。待っていて欲しい』
「良かったじゃないですか、姫様」
サリは喜んでいたけれど、複雑な思いが胸を占める。
キーマ第2王子殿下の婚約者。
その立場を忘れたことはない。
親同士が決めた、どこからどう見ても政略結婚。
大国の公女であることで国同士の力関係を考慮されている。
厄介者とまで思われていなくても、対応に戸惑っているのを感じていた。
嫌なら断ってくれたらいいのに…タヤカウ国で居ない者として兄姉から無視されることも慣れてたけれど、やっぱりそれは悲しいから。
そんな中、突然届いた手紙。
本当に、待っていていいのかな。
嬉しくないとは言わないが、カタチだけのモノかもしれない。
期待した分、失望するのが怖いのだ。
だから、向き合うことよりも目を逸らしていた自分に気づいた。
『今度、北の研究施設へ行く予定があるから、道中の案内できるけど?』
先日、話の流れでついでのように告げられた言葉。
『都合が良ければだけど』
ごめんなさいと断りの言葉を紡げたけれど。
すぐに言葉は出なかったのを思い出す。
楽しそうかもしれない。
最初にそう思ってしまったのだ。